2016年9月5日月曜日

宇宙大作戦50周年



















子供の頃テレビで「宇宙大作戦」って番組をやってた。
うちは岡山で関西ネットの放送局が3ほどあったんだけど
昔はくりかえし放映権を買った番組を流してたので
「奥様は魔女」「宇宙大作戦」「スパイ大作戦」などが
朝とか夕方とか深夜とかに穴埋め的に何年かおきに流れてた。

未来の宇宙を舞台にした「宇宙大作戦」は、つまり
いまは原題の「スタートレック」で知られてるけど
オレにとっては「宇宙大作戦」のなんともいえない響きが
胸に心地よい。
カーク船長は色男で、行く星々に昔の女がいるわ
ドクターマッコイは役に立つんだか立たないんだかわからないわ
スポックはなんだか耳がとがってるわ、特撮は当時観てても
チープではあったんだけど、なんせその前にご家庭にあった
テレビ受像器自体が質がよろしくないので、脳内での補完も
あいまって、記憶の中ではべらぼうにリアルな宇宙なんだった。

お話は回によって大変おもしろかったり大変くだらなかったりで
当時の製作状況がしのばれるのであるが、総じてこどものオレには
影響が大きかった。

前に書いたし媒体でもよく話してきたけど「宇宙大作戦」の未来と
いうのはすでに地球上での人種差別、貨幣経済、宗教問題は
解決された世界で、もうその前提でハナシが進む。
宇宙船USSエンタープライズ号のメインデッキにいる
上級乗組員にはアフリカ系の女性もアジア系の男性もロシア系も
宇宙人ももれなくいて、つまり差別がなくなって能力に適した
人材が登用される社会を自然に描いてた。
まあアメリカ人のカークが船長なのはご愛敬として、理念としては
それこそが「宇宙大作戦」だったのです。

当時のアメリカはまだまだアフリカ系の人がメインキャラクター
としてテレビシリーズに出てくることは少なくて
その状況で黒い肌の女性が船長と対等に会話する通信士ウフーラを
演じてるというのは凄いことだったわけですよ。

もちろん当時のオレははなたれたガキだったので、そんなことは
考えないし知らない。知らないけども、でも画面の中で人種を越え
繋がってる姿を「自然に見て」いたのは重要だったなあと
今にして思う。

20万年前だかにアフリカから始まった人間はもともとひとつの種で
しかないし、それがたまたま肌の色や住む地域であとから
陣地取りゲームが始まったにすぎないこの世界で、人種のみで
人を区別する行為がどれだけくだらないか、この地球に益のない
行為なのかは考えるまでもないですよ。

でも社会はいまんとこなぜか宗教や人種の問題がますます
燃えさかってる。それはカンタンにはリセットできない
人達の思惑の積み重ねの歴史でしかなくて、たまたまそこに
敵味方を作りやすい問題を持ち出してるから余計に始末に
悪いわけです。

こういうのは掛け値なし、心底くだらない。
でもシンプルな希望と理想はいつでも持ってないといけない。
ビジョンなしにはゴールは得られないからで
今は悪くても、未来はもっと悪くても、その向こうの未来は
もしかしたらもっと自然に生きていける世界があると
信じながら、今を生きてるじぶんが前を向いて生きていかないと
いけないんだと思う。
そういう気恥ずかしいまでのきもちを、この「宇宙大作戦」を
作った人は持っていて、やっぱりそれで育ったオレたちは
その気持ちを恥ずかしくも表明していかないといけないんですよ。

そんな「宇宙大作戦 Star Trek」は今年で50周年を迎えます。
Live long and prosper.
長寿と繁栄を。