2017年5月9日火曜日
月光に吠える
3月にパリのマンガ書店でサイン会やらせていただき
先週は韓国のソウルのマンガ書店でサイン会してきましたよ。
日本での危機あおり感とウラハラに
ソウルの街の平和っぷりにほっこりしつつ
うまいものたらふく食べてきたのである。
ソウルの友人に「北朝鮮についてはソウルでは
どんな雰囲気なのか」と訊くと、とにかく韓国の
大統領選の時期には北朝鮮が示威行動をするのである。
それはいつものことなので正直お祭りみたいなものです、という。
もちろん政治的な国同士のやりとりの緊張感みたいなのは
核問題を踏まえてシリアスにあるんだろうけど、それにしても
日本でのあおりっぷりとは、正直違いすぎて
不思議な感覚ではありました。ここらへんもっと
勉強しないとよくわからない。
外に敵を作って危機感を高めて国内の結束を強める、
みたいなことは歴史上事例がありまくるわけだけど
現実の時間でそういう渦中にいると実際よく見えないことが
多すぎる。「歴史」となってはじめてわかる河の流れが
河のど真ん中で溺れまいと懸命にばちゃばちゃやってると
見えるわけないからだ。だからこそ、両岸でナニが起こってるのか
知れる限り知ろうとする。
状況が見えないのはとても不安だから。
それでも同じ絵描き同士は絵を介しては、まったくもって
平和に繋がる。個人のつながりはいつだって国を越える。
もちろん心の奥底をお互いほじくり返せば、理解不能な部分が
あるでしょう。でもそれは日本人同士だってあるしね。
友達同士だってある。だったらわかりあえる部分だけで
繋がっていけばいい。
ニホン、アメリカ、韓国、フランスと、訪ねていけば
利害関係なく笑顔で迎えてくれる友人がいる。
そういうことが大切だなあと、いつも思ってる。
ともあれソウルで鉄人Kim Jung Giとやったサイン会は
なごやかに進行して並んでくれた人もよろこんでくれて
いたように思う。
ソウルでもパリでも言葉も通じないのにファンが海外に
いる、というのは不思議なものなんであります。
ありがたいな。
ソウルの書店でサイン会を終えて、ヨコのテーブルで
取材を受けてる最中に、ふと記者さんのうしろに目をやると
谷口ジロー師匠の「千年の翼、百年の夢」の韓国語版が
棚にささっていて表紙の主人公がオレをみてました。
なんだか涙腺がいっしゅん緩みかけた。