2009年5月17日日曜日

30年前の夜




田舎の高校2年生のSF少年だったオレですが
とりたててSF仲間がいるわけじゃなく、とゆーか欲してもおらず
昔からひとりでごちょごちょ遊ぶ性質なので群に属する事を
あんまり選ばないのですけども、それでも同じモノを好きな人と
話をする事は楽しい。
そんな夜を30年前に初めて持ちました。

浅草でおこなわれたSF大会に参加した夜、宿泊してたホテルの
廊下でミュージシャンの難波弘之さんと会いました。

会ったつーか、難波さんを囲むファンのはしっこに
膝を抱えて座ってただけなんだけど。

SF大会ってのはインターネットもない昔、ファン同士が
繋がるにはSF雑誌、同人誌を核に開いた商売っけゼロの
コンベンションの事です。今も続いてる。
知らない同士が集まって、唯一のつながりがSF好きってことで
旧知の仲のように知り合いになっていく場でした。
未公開のSF映画とか、SF関係のイラストの原画が展示されたり
一芸を持ってる人がミニイベント開催したり
作家のトークショーありで、一般のSFファンとしては
一度は参加しておきたい集まりでした。

難波さんはミュージシャンとしても有名でしたけど
筋金いりのSF者としてもこっちでは知られた存在なのでした。
手塚治虫がジャケットイラスト描いた「センスオブワンダー」は
難波弘之ファーストアルバムで、曲はすべてSFの名作から
インスパイアされたものでステキアルバムでした。

そんな難波さんはSFの話、古本の話、音楽会の話、と縦横に
ファン達とトークを繰り広げてくれて
田舎でひそやかに生息してた少年には、現実にそんな世界がある、と
いう事を初めて感じさせてくれた時間でした。

そろそろ解散しようか、という時に難波さんは
「うちの古本をちょっと処分したいんで、欲しい人には
 売るよ。連絡先書いておいて」と呼びかけ
オレもこそっと書き込んでおいたのです。

数日後、難波さんからハガキが来た。
手書きの几帳面な文字で売りたい本のリストが書かれていて
最後に「SF大会ではたのしかった!ありがとう!」ってまで
あったので、少年はなんというか、その心配りに感動したのです。

と同時にオレはその頃まで古本に価値がつくと
元の値段より高くなるという事実を知らなかったので
そのリストに書かれていた価格に驚いたのだった。
といっても数千円とかなんだけど、当時のオレには
金がないのでこりゃ買えないや、、、、となりまして。

すぐハガキのお礼を書こうとしたのに、
わざわざ送っていただいたにも関わらず一冊も買わない事が
申し訳なく、へんな自意識も同時に働いて
変な返事は書けないぞ、とか思い込み
返事が書けないまま、はい、30年経ってましたよ。
はっはっはっは。。。。

難波さんの名前を思い出す度、なにかで見かける度に
胸のどこかがチクリとする30年。
それが先月、とり・みきさんから
「5月に難波さんのトークイベントに出る。」との情報を得て
おおおおおおお!ついに!これは!
と思った次第です。
しかも大槻ケンヂも出るという。
あわててチケットを買い、とり・さんに頼みました。
「イベント終わったら難波さんに紹介してもらえまいか」と。
快く引き受けていただきまして、とり・さんには物凄く感謝。

んでこないだ行ってきた。お台場まで。
んでたのしいイベントの後手招きされて控え室に忍び込み
ついに難波さんに30年前のお礼を言えたのであった!!!

ふわ〜〜〜〜〜〜!
ありがとうございました!難波さん!