2010年2月27日土曜日

「デトロイトNGサーカス」がでる。




はるか昔にでたオレのファースト単行本は
旧車のインプレッションマンガ「のらずにいられないっ!」だった。
原作はDAVE鴫原。監修を吉田匠さん。
「Begin」の兄弟誌「CarEX」で連載してたものだ。
鴫原(シギハラと読むのよ)さんとふたりで
5,60年代あたりのクルマに乗っては
マンガスタイルでこまかくこまかくあーだこーだと
こまかい事をだらだらと好きな人にお伝えする内容であります。

鴫原さんとは専門学校卒業した直後くらいに出会った。
卒業製作でつくった個人マンガ雑誌をみて、秋本先生が
「オレの仕事相手が今度マンガ雑誌を作るらしいから
これ持ってってみろよ」と言ってくれたので持ち込みをした時に
遭遇したのだった。
持ち込んだ先は世界文化社で、相手は後にBeginやらLEONやらを
立ち上げる岸田編集長だったわけだが、その横に
壁か、と思わんばかりの巨大な男がいて、それが鴫原さんだった。
岸田さんはオレのマンガをみて「じゃ16ページな」などと
かろやかにのたまい、オレはマンガ家デビューすることに
なったわけなのであります。ありがてえありがてえ。

鴫原さんはそのままオレの担当になった。
この男はフリーの編集、というか、アイデアデブマンで
岸田さんのブレーン的な位置をひとりで5人分くらい
占めてたわけですが、同時に無類のマンガ好きで
しかもオレの尊敬してる谷口ジローが好きだ!好きなんだ!
だから口説き落としてこの雑誌に読みきり描いてもらうことに
したんだ!!と叫んで、ほんとに口説き落としたりしてた。
恐ろしいほど他人との垣根がないデブ人間なので
オレもすぐ仲よくなった、というか仲良くなる以外道はないのだった。

まあその流れでその後も、なんやかんやで
オレを使ってくれて「のらずにいられないっ!」も連載した。
マンガも描こうぜ!と叫ぶので、鴫原原作でマンガも描いた。
「CarEX」でも2,3本描いた。
ストーリーは単純だけど「ここがおもしれえんだよ!」という
芯がいつもずばっと走ってて描きやすかった。

メカデザイナーの小林誠さんがミニカーの雑誌を作るので
寺田くんマンガ描いてよ、CarEXのやつみたいの、と発注して
くれたので鴫原さんと何本か短編のクルママンガを描いた。
「CarEX」では「デトロイトNGサーカス」という
へんなマンガの連載もはじめた。
心乃助という天才メカニックを取り巻く、自動車雑誌の
編集部でのドタバタであるが、その連載途中で
鴫原さんは病を得て若くして死んじゃったのであります。
仕方ないので途中からはオレひとりで描いた。
鴫原さんだったらこう書くだろう、鴫原さんだったらここ
おもしろがるだろう、とイタコみたいな感じで描いたなー。
もう16年も前の事だ。

そんなDAVE鴫原といっしょに描いたマンガが
この度めでたく初単行本化となりますよ。
双葉社から「のらずにいられないっ!」と共に
同時発売のはこびとなりました。
ありがとうございますありがとうございます。
発売日はおってお知らせしますが、もうすぐです。
色校もでたし、デザインかっこいいんだ。
よくいっしょに仕事してくれてる腕利きの
葛西恵が装丁だ。イカス。



どうかどうか。
ぜひぜひ。