2010年5月12日水曜日

構成物質。

ひとは誰も単独では存在できないのであって
まずは両親がいてオレがいるわけです。
それは生物レベルでの出来事ですが
絵描きマンガ家レベルではそれこそ無数に両親がいるカンジです。
最初に意識したのが誰だったのか、
もうさすがに覚えてないんですけど
小学生のころはマンガと本の挿し絵から影響を受けてます。
絵のみの影響から言うと
マンガはともだちの木内くんと古本屋めぐりをして
手塚治虫や白戸三平、横山光輝などが
最初の血だったんだろうかなー。
模写とかもしてました。
挿し絵は断然、武部本一郎ですよ。
当時はハヤカワ文庫のターザンシリーズとか
子供向け版の怪人二十面相シリーズとかで描かれてましたね。
凄い好きだった。
その後はもうどんどん入ってくる。
松本零士、石川賢、永井豪、石森章太郎、、、
中学生にあがると加藤直之、角田純男、とSFマガジン系で
絵に触れつつ、家にあった世界名画全集からダリとか
マグリット観て
「これはSFじゃなー」とか思ってた。

そして遂に中学の終わりにメビウスとフラゼッタと大友克洋に
出会うわけですよ。
ここでもう完全に方向性がセットされました。
メビウスの「線」にイカれて、大友さんのマンガにやられ
そしてフラゼッタの「筋肉」に燃えた。
たとえば当時「スターログ」で紹介されてたファンタジー系の
筋肉イラストレーターといえばフラゼッタに並んで
ボリス・バレイホーがピックアップされてたものですが
あっちはもう全然ピンと来なかった。
なぜならボリスの筋肉はコスプレチックな写真を
自分で撮り、それを元に描いてるものだから
ヒロイックファンタジーの世界に「今の普通の筋肉」が
はいってきてしまってて興ざめするからなのねー。
剣と魔法の世界にボディビルダーの筋肉は基本相いれない。
まるで時代劇でファスナーが鎧についてるような
違和感があるわけで。

でもフラゼッタはちがったのです。
フラゼッタは物語の世界にある筋肉を描いた。
もちろんモデルはいたのかもしれないが、そのカラダを
ファンタジー用にきっちりアジャストして料理してた
ということです。
しびれたー。
内圧の高いカラダに青白い皮膚が張り、浮き出た筋肉
がうねって「動き」が見事に画面に横溢してて
艶っぽいすばらしい絵だったです。

後年フラゼッタがハワード・パイルやN.C.ワイエスの
影響を色濃く持ってたことを知ったあとも
全然色あせない強さを持ってた。
大好きでした。
フラゼッタはオレを10%以上は構成してるモノとして
永遠なんであります。
合掌。